ごあいさつ Message

ごあいさつ

Message

地震から1か月を迎えて

地震の発生から1か月が過ぎました。

地域では復旧が少しずつ進む一方で、今なお十分な水を確保できない地域があります。また、自力では自宅の片付けを進めることが難しい方、住む場所を失い不自由な生活を余儀なくされている方など、多くの方々がさまざまな困難を抱えておられます。地域が日常を取り戻すまでには、まだ時間が必要であることを感じています。

当院も今回の地震により建物や設備に大きな被害を受け、一時は通常の診療を続けることが困難な状況となりました。現在も病棟設備の損傷により一部使用できない病床がありますが、多くの皆さまからの温かいご支援と職員の懸命な努力により、それ以外については、ほぼ従来の医療提供体制を取り戻すことができました。改めまして、ご支援いただいたすべての皆さまに心より御礼申し上げます。

そして今、私たちは今回の経験を今後に生かすため、発災直後からの対応について振り返りと検証を始めています。

その一環として、発災時の院内の防犯カメラ映像を確認する機会がありました。そこに記録されていた光景に、私は改めて驚かされました。

激しい揺れの中で、患者さんや周囲の職員の安全を懸命に確保しようとするスタッフ。揺れが収まると同時に、離れた場所にいる患者さんの安全を確認するために駆け出していくスタッフ。そして、スプリンクラーの破損による溢水をはじめ、次々と発生する設備の損傷に対して、職種や部署の垣根を越えて協力し、懸命に対応するスタッフたちの姿が映っていました。

それは誰かに指示されたからでも、誰かに見られていたからでもありません。突然の災害を前に、それぞれが「患者さんを守るために今、自分は何をすべきか」を感じ、行動した結果なのだと思います。

その姿を見ながら、私は当院のスタッフ一人ひとりが持つ医療人としての責任感と覚悟に、改めて心を打たれました。同時に、このような仲間とともに地域医療を担っていることを、院長として大変誇りに思いました。

もちろん、今回の対応がすべて十分であったわけではありません。振り返れば、準備が足りなかったこと、判断に迷ったこと、もっと適切に対応できたことも数多くあります。今回の経験を単なる「大変だった出来事」で終わらせることなく、一つひとつ検証し、次の災害ではさらに安全に患者さんと職員を守ることのできる病院へとつなげていかなければなりません。

そして、地域には今なお支援を必要としている方々がたくさんおられます。

病院が医療提供体制を取り戻すことは、私たち自身の復旧のためだけではありません。必要な医療とリハビリテーションを安定して提供し続けることで、地域の皆さまが少しずつ日常を取り戻していく。その一助となることが、地域にある病院としての私たちの役割だと考えています。

当院は「ヒトとマチを元気に」を理念として掲げています。

これまでも大切にしてきた言葉ですが、今回の地震を経験し、この理念が持つ意味を私自身、改めて考えることになりました。

患者さんを守ろうと懸命に行動するスタッフがいる。そのスタッフを支える仲間がいる。そして、被災した私たちの病院を、地域の皆さま、医療・介護関係者、桜十字グループをはじめ、本当に多くの方々が支えてくださいました。

人が人を支え、その力が病院を支え、やがて地域を元気にしていく。

「ヒトとマチを元気に」とは、まさにこういうことなのかもしれないと感じています。

地震から1か月。復旧・復興への道のりは、まだ続きます。

脳神経外科 西徹院長